株主総会を経てゆいレール(沖縄都市モノレール社)の決算が公表されましたね。
こちらは株主総会の報道
沖縄モノレール 3両に、22年度にも 観光客増で 20190612日経新聞
事業報告の内容
事業報告をざっくりまとめると、
- 過去最高の乗客数 1900万人超
- 3期連続の単年度黒字 5.6億円
- 債務超過だけど継続企業の前提に関する重要な不確実性はない
- (対処すべき課題1) 浦添延長事業 予定通り10月開業する
- (対処すべき課題2) 車内混雑と一部駅券売機前で混雑 → SUICA等2020年春導入と本数増で対応
- (対処すべき課題3) 3両化を実施する→車両購入、運営基地用地買収の資金調達(国、県、那覇市、浦添市への財政支援要請)
です。
特に、5が一番の課題ですね。
国等に支援をしてもらうにしても、都市モノレール社が頑張らないと実現しないのだろうと思います。ので、早く3両化実現できるよう頑張ってもらいたい、とてもとても期待をしています。僕はモノレールの充実は沖縄経済の重要なポイントだと思います。
決算内容
過去の累積赤字
さて決算内容ですが、単年度では黒字ですが、過去の累積赤字はものすごい金額になっています。
当期純利益 5.6億円
利益剰余金 △127億円(過去の累積赤字)
→単純に割り算すると、、、23年かかります。途方も無い数字です。
債務超過とDES(沖縄県と那覇市)→3両化の資金調達のために
さらに債務超過が、△27億円あります。
この債務超過がネックで沖縄公庫からの借り入れが困難なため債務超過を解消するためのDESをするという報道もあります。DESとはデットエクイティスワップの略で、債務の株式化とも言われますが、債務を純資産にして(債権を現物出資)して純資産を増やす方法です。債権者は株主になりますし、沖縄都市モノレール社からすると債務がへります。
沖縄都市モノレール 財務改善へ債務株式化検討 3両化向け20190605琉球新報
債務超過を解消して、資金調達をするという方法です。
沖縄都市モノレール社の過去の資料をみると債権者は、
沖縄県
那覇市
沖縄公庫
です。
沖縄都市モノレール株式会社 中長期経営計画 【平成24年度~平成31年度】
平成24年1月の情報なので現状はわかりませんが、このうち沖縄県那覇市の債権についてDESをするということです。沖縄公庫はDESをしないようです。
税負担
沖縄都市モノレール社は270億円もの累積赤字があるにもかかわらず(多額の繰越欠損金があるにもかかわらず)6.6億円の当期純利益に対して1億円の税金を支払っています。税負担率は15%です。この税負担を減らせるとさらに財務内容は改善するはずですが、過去の赤字にもかかわらず税負担が重くのしかかっていると感じます。国県市から支援をしてもらって事業をしてそこからの利益に課税された国県市に税金をおさめるという状況です。せっかく支援をしてもらっても減らせる税金を払っていると支援の効果も低減してしまいます。
さてこの税金負担がでている理由は資本金が1億円超だからだとぼくは見ています。
資本金1億円超の場合は、
- 繰越欠損金は年間所得の半分までしか控除できない(半分の所得については法人税等を払う必要がある)
- 外形標準課税(利益がなくてもかかる事業税の一種)がかかる
という税負担があります。
資本金1億円以下だとこの1と2は発生しません。
2外形標準課税については沖縄県のホームページに記載があります。
資本割だけでも推計すると、、、
課税標準(資本金+資本準備金)約100億円×0.5%=5000万円
です。
これだけでも沖縄都市モノレール社の財務には大きなインパクトがあります。
税負担を減らすには
資本金を1億円に減資すれば税負担を軽減できて、財務内容に効果があります。
減資には株主総会の承認が必要ですが、是非取り組んでいただきたいですね。