沖縄都市モノレール社(ゆいれーる)の件で触れてきた外形標準課税についてざっくりと説明します。
外形標準課税とは法人の税金の1つで、法人事業税のひとつです。
法人事業税の1つなので、都道府県が課税します。
外形標準課税の対象となる法人
外形標準課税の対象となる法人は事業年度末日の“資本金1億円超”の法人です。
資本金1億円→対象外
資本金1億1円→対象
です。
資本金は登記事項なので、登記簿で確認することができます。
決算書でいうと純資産の部の1番上の科目です(貸借対照表の右下に位置しています)
事業年度末日の資本金で判定しますので、事業年度末日までに減資をすれば、外形標準課税の対象外になることもできます。
”外形“と名前が付いている通り、資本金という非常に客観的な要素で対象か対象でないかが判断されます。
外形標準課税の税金の種類
外形標準課税の税金種類は2つです。
①付加価値割
②資本割
です。
課税標準と税率が異なります。
付加価値割
付加価値割はおおざっぱにいうと
利益+人件費+地代家賃+利息を課税標準にして、
過去の赤字を無視して税金を計算するものです。
経済学でいう付加価値の概念を参考にしたのだろうと思われます。
人件費地代家賃利息を利益に足し合わせるので、所得が赤字でも課税標準が発生する個人的には恐ろしい税金です。
さらに過去の赤字がむしされて単年度の利益等のみに課税されるという意味でも恐ろしい税金です。(ちなみに法人税は繰越欠損金という過去の赤字を考慮する仕組みがあります)
このあたりの仕組みから利益がでていなくても税金がかかるとぼくは呼んでいます。
大幅な赤字があると課税標準がマイナスになりますが、、、
税率は、
東京都 1.26% →税率ページ
沖縄県 1.2% → 税率ページ
です。
税率は都道府県により自由に決められる幅があるので、都道府県によって異なります。
資本割
次に資本割ですが、資本割は株主から出資された金額を課税標準として税率を乗じて計算する税金です。
こちらは付加価値割以上に利益に全く関係なく税金がかかるものです。
株主からたくさんの出資を受けた法人ほどたくさんの税金がかかるということです。
株主からたくさん出資を受けた企業がたくさん設けるわけではありません(そんな因果関係はありません)ので、たくさん出資をうけて全く利益がでていないと重く重くのしかかってくる税金です。
→おそらく沖縄都市モノレール社はこの株主からの出資が約100億円ありますので、この税金が重く重くのしかかっていると思います(ぼくの推測ですが)
株主から出資をうけた金額と説明しているのは、資本金だけでなく資本準備金やその他資本剰余金なども課税標準になるということです。また欠損填補により利益剰余金と相殺した金額も含まれます(正確には課税標準は“資本金等”で、これは法人税申告書別表5(1)の右下の金額です)
税率は、
東京都 0.525%
沖縄県 0.5%
です。
資本割も都道府県によって自由に決められる幅があるので都道府県によってことなります。東京都は高く設定しています。
ちなみに沖縄都市モノレール社が外形標準課税の対象であり株主から出資をうけた金額が100億円であると仮定すると、
100億円×0.5%=5000万円
になります。
毎年利益があろうがあるまいが、5000万円を沖縄県に収めることになるとは驚愕ですね。
外形標準課税をやめたい場合は、、
このように厳しい厳しい税金である外形標準課税ですが、前述した通り、期末資本金が1億円以下になれば対象外になります。納めなくてすみます。
資本金を減少させるには、株主総会で資本金減少の決議をとり、所定の手続きをへることで実施できます。
*減資の手続きは別でブログにしようと思います。
株主の理解と若干の債権者の理解を得ることができれば資本金を減らすことができます。
外形標準課税が重くのしかかっていて、やめたいのであれば年度末までに減資することをご検討下さい。
減資には最短でもぼくの記憶によれば、2ヶ月前後期間が必要だったように思いますので、早めに準備をしないと年度末に間に合わないということもありますのでご注意下さい。