事業承継税制1 事業承継税制とはなんなのか?

くらし

事業承継税制とはなんなのかからはじめます。

事業承継税制とはなんだろう

誰のお話かというと、株式会社を経営しているオーナーの方が自分はもう引退したいけど、この会社をどうしようかなぁというお悩みを解決するための税制です。

お悩みというのは概ねこんなイメージだと思います。概ねというのは世の中いろんな会社があっていろんな経営者がいて、典型例ってなかなか表現が難しいので一応こんな感じかなあという私のイメージという意味です。

社長ケンジの悩み

未上場の株式会社を経営する65歳男性のケンジはそろそろ社長を引退したくて悩んでいました。

これまで手塩にかけて育ててきた会社だけど、自分はもう歳をとってしまってそろそろ経営者を続けていくのもしんどいなぁ。

自分の代だけで廃業するにはもったいないよなぁ。

廃業するとうちのサービスを利用してくれている人に申し訳ないし、多少の迷惑をかけるなぁ。

頑張ってくれてる従業員は、”ぼくはもう歳をとったので会社を廃業します”というと困るだろうなぁ。

うちの仕事の外注を受けてくれている外注先の方々もこれまで無理を言って仕事をお願いしてきたのに急に会社やめますというと迷惑かけてしまうなぁ。

こう考えると自分は引退しても誰かに会社を継いでもらって会社は続けてもらいたいなぁ。

長男のシュウジに継いでもらうのが良さそうだな、常務取締役になって頑張ってくれてるし、シュウジなら、さらにいい会社にしてくれそうだしなぁ。社長としてうまく経営してくれると思うしなぁ。

シュウジに会社を継いでもらえないか話してみよう。承諾してくれたら会社の幹部にも次の社長はシュウジにしたいと話して、徐々に仕事を引き継いでいって、2年後目処に社長交代をしよう。次期社長と決まれば、社長となった後にシュウジのやりたいこともあるだろうからそのサポートもしてあげよう。

社長交代はこれでうまくいくとして(シュウジの答え次第だけど)、問題はぼくが持ってる株式だなぁ。この前の決算が終わったあとに顧問税理士のススム先生に株価を聞いてみたら”社長の株式は10億円ですよ”と言われたんだよなぁ。10億円はやばいよなぁ。社長交代と同時に株式をシュウジにあげるにしても10億円の株式をあげたら贈与税が5億円になるしなぁ。そんなお金シュウジは持っていないよなぁ。納税資金も一緒にあげるにしてもぼくもそんなにお金持っていないしなあ。会社のお金で工面するにしても会社にそんなお金はないし、銀行から納税資金借りるにしても、そもそもそんな資金貸してくれないかもしれないし、貸してくれたとしても、シュウジからするといきなり5億円の借金を抱えて社長をスタートするのは辛いよあなぁ。

株式をあげずにぼくが持ち続けてもいつかぼくがなくなると相続税がかかるから問題を先送りするだけだしなぁ。それに株式を持ち続けるとシュウジは大事なことを決めるときは毎回株主であるぼくにお伺いたてないといけないから、不自由だし嫌だろうしなぁ。

うおおー。株式の問題を解決しないとぼくは社長を、引退できないじゃないか、どうしたらいいんだぁぁぁ、、、。

事業承継税制って何?

長くなりましたが、ケンジのこの株式どうしよう問題の解決策の一つが事業承継税制です。

株式の評価が高い、株をあげると贈与税が高くて税金が払えない、税金が高いから株式をあげられない、株式をあげられないと、会社を引き継げない、いつまでも引退できない、。と負のループです。

なんとかして株式を上げることができるように、贈与税を猶予するのが事業承継税制です。

払う税金を、猶予するには厳しいハードルを設けるのが税金の世界です。簡単ではありません。簡単だとみんな悪知恵を働かせて悪用されてしまうのでしょうがないです。

引退してハッピーな次の人生に、進むためにはこのハードルを越えていかなくてはいけません。高い税金を払えばハードルを越えなくてもいいのですが、払えないのであればこのハードルを越えなくてはいけません。ハードルを越えるのは社長であるケンジだけではなく、後継者のシュウジとそして会社のみんなもハードルを、超えないといけません。逆にいうとみんなで協力をしてハードルを越えれば良いという見方もできます。

事業承継は社長と後継者だけの問題ではないので、会社のみんなを巻き込んでみんなで協力してハードルを越えていく一大プロジェクトです。

まとめると

まとめると、事業承継税制は税金を払えない場合でも株式を引き継ぐための方法で、高いハードルはあるものの、社長後継者会社のみんなで頑張ってハードルを越えることができれば、社長は安心して引退できる、後継者と会社は資金負担なく引き継いだ会社の経営を進めていける制度です。

次回事業承継税制を少しずつ紐解いていきます。